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カメラ情報センター検証レポート
(2004.2.20)
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ニコンF6+デジタルの可能性 |
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ニコンは1959年の「Nikon F」の発売以来、1971年に「Nikon F2」、1980年に「Nikon F3」、1988年に「Nikon F4」、1996年に「Nikon F5」をそれぞれ市場に送り出してきた。これらニコンの35mm一眼レフのフラッグシップ”F一桁シリーズ”の発売間隔は、FとF2が12年、F2とF3が9年、F3とF4が8年、F4とF5が8年となっており、これを考慮すると、F5の発売から8年目となる2004年は「Nikon F6」が発売されてもおかしくない年である。しかし、一眼レフカメラもフィルム(銀塩)からデジタルへの移行が急速に進んでおり、下表のように巷では、“今更、銀塩のフラッグシップを出しても企業としてのメリットは少ないから、ニコンもF6を出さないのではないか”との見方も少なくない。
ニコンF6が2004年に発表される可能性に関するコメント〔学研「CAPA2004年2月号」より〕
ニコンの開発責任者の発言に基づく検証--「F6」の開発が進められている可能性は高い!?
一方、当のニコンは、映像カンパニー開発統括部第一開発部ゼネラルマネージャーである後藤哲朗氏が雑誌のインタビューに答える形でこれまでも何度か「Nikon F6」の可能性について言及している。後藤氏の発言は下表のように整理され、そのニュアンスは、回答時期によって若干異なるものの、少なくともニコンが「Nikon F6」の開発を検討していたことは確実で、現在開発が進められている可能性も十分にあると考えられる。
Nikon F6の開発計画に関するニコンのコメント
ニコンのデジタル一眼レフ「D一桁シリーズ」のスペックに基づく検証 D1シリーズの視野率96%とD2Hの間延びしたAF測距点の配置は、「F6+デジタル」を開発している証?
ニコンのデジタル一眼レフのフラッグシップはD1から始まった「D一桁シリーズ」であることは疑いのないところだが、D1が市場に登場した際、腑に落ちない点があった。それは、D1のカメラとしての基本スペックの一部、例えばファインダー視野率が96%であることなど、ニコンのフラッグシップと呼ぶには相応しくない点があったことだ。ニコンの銀塩のフラッグシップである「F一桁シリーズ」は、全ての機種が視野率100%であり、言い換えればニコンのカメラでは「F一桁シリーズ」以外に視野率100%を有する機種は存在しなかった(D1発売時点)。つまり、視野率100%のカメラは同社のフラッグシップ機である証でもあったのだ。しかし、デジタル一眼レフのフラッグシップとも呼べるD1シリーズの視野率は100%ではなかった。これは技術的に困難だったという理由からではなく、ニコンがF一桁シリーズを同社のフラッグシップと位置づけ、「Nikon F6」のデジタル化を検討していた証であると考えるのが妥当ではないだろうか。 「D2Hで視野率100%になったのでは・・」という意見もあるだろう。単純に視野率だけみればD2Hで「D一桁シリーズ」はニコンのフラッグシップ機の仲間入りを果たしたことになる。しかし、D2Hにおいても腑に落ちない点がある。それは間延びしたAF測距点の配置とファインダー倍率の低さである。明らかに35mmフルサイズのデジタル一眼レフあるいは35mm一眼レフ用として開発したボディーをベースにしているとしか考えられないのである。 この点については、未発表の「D2X」が35mmフルサイズの撮像素子を搭載して登場すると考えれば合点が行く。しかし、ニコンの後藤氏がアサヒカメラとのインタビューの中で「フルサイズ(の撮像素子を採用したデジタル一眼レフ)も意識しているのではないか(那和秀峻氏)」との質問に「昨年宣言しましたように、現在のデジタル一眼ではDXフォーマットが総合的にいちばんバランスの良い基準だと考えています。レンズだけでなく、ボディなどのラインアップを揃えることが優先です。ただし、フルサイズを否定しているわけではなく、ずっと研究はしております(アサヒカメラ2003年9月号、p106)」と答えたことを考慮すると、D2Xのフルサイズ化は考え難い。ニコンは少なくともD一桁シリーズを含めたDシリーズではAPSサイズの撮像素子を採用するDXフォーマットを貫くと考えるのが妥当だろう。 このようなことを踏まえると、ニコンが35mmフルサイズの撮像素子を搭載したDシリーズのデジタル一眼レフを投入するとは考えにくい。しかし、ライバル「キヤノン」がフルサイズのデジタル一眼レフ「EOS-1Ds」を市場に投入し、またニコン自身がフルサイズのデジタル一眼レフの研究を明言していることを考えると、ニコンも近い将来、35mmフルサイズの撮像素子を搭載したデジタル一眼レフを市場に送り出す可能性は非常に高いと考えられる。この仮説が正しいとすれば、それは「Nikon F6」になるのではないだろうか?
ニコンF6は、フィルム(銀塩)&デジタル併用の新システム一眼レフ?
それではニコンF6は、35mmフルサイズの撮像素子を搭載したデジタル一眼レフとして登場するのだろうか?こうした可能性はあるものの、個人的にF6は銀塩の35mm一眼レフとして登場し、それに35mmフルサイズの撮像素子を搭載したデジタルバックを装着するという形が最も有力であるように思う。理由は次の通りである。
■デジタル技術が発展途上である現在、F6をデジタル一眼レフとした場合にはカメラボディ自体(特にデジタル部分)が2年程度で陳腐化してしまう恐れがある。これはロングセラーを前提とするF一桁シリーズには相応しくない。しかし、陳腐化の早いデジタル部分を外付け、すなわちデジタルバックとすることでカメラボディ自体が数年で陳腐化(=売上が減少)するという事態を防ぐことができる。 ■F6の発売に否定的な人が指摘するように、「F6」をこれまで同様のデジタル非対応の銀塩一眼レフとした場合には、会社に利益をもたらしうるほどの台数を販売できない可能性が高い(=商売として成り立たない?)。 ■F6を銀塩&デジタル併用のハイブリッド一眼レフシステムにすることは、カメラ自体の魅力度アップにつながり、ハイアマチュアやプロの“銀塩派”や“銀塩+デジタル併用派”のみならず“デジタル派”をも取り込むことができる(すなわち、メーカーとしてはある一定の“売上=利益”が期待できる)。また、F6をハイブリッドとすることでD一桁シリーズとの差別化も可能になる。 ■「F6」をハイブリッド一眼レフとすれば、当面はF6を銀塩カメラとして利用し、後にデジタルバックを購入してデジタルカメラとして利用することも可能になるので、発展途上のデジタル一眼レフへの移行を躊躇している層あるいは一度に多額の出費を敬遠する層の購入を促すことができる。 ■ライカも既に35mm一眼レフのR8/R9用のデジタルバックをコダックと共同で開発しており、デジタルバックには現実味がある。
ここでは、「F6」のデジタルバックの撮像素子を35mmフルサイズと想定したが、その場合、かなり高額になることが予想されるので、デジタルとして利用する人は限定されるという課題が生じてくる。こうした課題に対しては、銀塩&デジタル併用のハイブリッド一眼システムのメリットを生かして、廉価版のAPSサイズのデジタルバックをも用意するという戦略もあるだろう。この場合、D1桁シリーズと競合する可能性もあるが、廉価版については連写性能を下げるなどの措置をとることでF6とD一桁シリーズの差別化も可能になる。
“Nikon WEB Magazine” に掲載された「ニコン物語」の中にある気になる一文
ニコンのホームページ「Nikon Web Magazine」には連載ものの「ニコン物語」が掲載されている。この「ニコン物語」の「第11回遡るニコン史 〜 歴代ニコンとシャッター (その 2 )(縦野横行著)」の後半部分に銀塩&デジタル併用のニコンF6の可能性を示唆する (?)以下のような記述がある。これは、ニッコールクラブが発行する「ニッコールクラブ会報」に掲載されたもので、ニコンホームページ用に改定されたものだが、ニコンのホームページに掲載されたものだけに非常に気になる一文である。 ニコンがF6の銀塩&デジタルのハイブリッドの開発を暗に示唆していると捉えるのは筆者だけだろうか・・・。 「・・・このように羽根式縦走りシャッターとしてあれこれ手を尽くして作られている「F5」のシャッターを見ていると、次の "F6" (!?) のシャッターがどうなるのか ? に想いが及ぶ。ひとつの興味は、21世紀のカメラである "F6" にはデジタル記録が併用されるかもしれない。もしそうであるなら、CCD に代表される撮像素子の形式にもよるのであろうが、どのような役割を持つどんな形式のシャッターになるのか?・・・ 」
おわりに 以上、個人的な期待も含めてF6+デジタルの可能性についてまとめたが、F6が実際に登場するかどうかはニコンの一部関係者にしか分からない。F6の開発となると多額の研究開発費がかかることは確実であり、メーカー側にも大きなリスクがつきまとうのは事実だろう。カメラ情報センターの業界研究レポートでも紹介したように、ニコンの業績は現在、柱の1つであるステッパー部門の業績悪化が響いて芳しくない。ニコンがこうした状況下で、F6の開発に取り組んでいるかどうかは疑問が残る部分も無いわけではない。しかし、カメラ王国日本のカメラ史を語る上で欠くことのできないニコンF一桁シリーズがF5で終わることは非常に寂しいことである。ニコンが奮起し、F6を市場に送り出してくれることを 願うだけである。 |
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